睡眠時無呼吸症候群(SAS)治療

皆さんは、睡眠時無呼吸症候群と言う病気をご存じでしょうか?この睡眠時無呼吸症候群は、非常に危険な病態です。

私が閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療を始めたきっかけ

先ず私が、なぜ閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療を始めたのかをお話させていただきます。
実は、私が大変重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群なのです。どれくらい重度なのかと言いますと、睡眠時に呼吸が1時間に60回以上止まっていたことが検査でわかりました。それも、最低10秒以上ですから9秒以下呼吸が止まっていたことをカウントするとそれ以上の無呼吸・低呼吸なのです。
また、血液中の酸素飽和度は通常時は95%から100%で、無呼吸・低呼吸によって低下していきます。

僕を診て頂いた医科の先生は、「中村先生、重度の睡眠時無呼吸症候群の患者さんは大体、血中酸素飽和度が70%程度まで落ち込む方がいらっしゃるのです。大体、毎晩エベレストの頂上へ登頂している事と同じなのですよ。」とおっしゃっていました。そして検査の結果はなんと、僕の場合の血中酸素飽和濃度は60%でした。機械のエラーだと思いますが40%と言う値も出ていました。医科の先生も、僕も思わず絶句してしまいました。
医科の先生は僕に「中村先生、5年から10年で先生が亡くなる可能性は50%ですよ。」とおっしゃいました。僕は、重度でしたので直ちにCPAP装置を用いて治療を開始したのです。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群が改善して起きた劇的な変化

さて皆さん、ここからの話を是非聞いて下さい。僕は、本当にびっくりしました。体調が、素晴らしく劇的に良くなったのです。
経験のない方にご理解いただくことが少々難しいかもしれませんが、治療を始めて2日位からの変化が本当に素晴らしいです。

朝の目覚めが良くなった
まず朝の目覚めが非常に良い事に驚かされました。起きてもだるくなかなかベットから出ることが出来ず、階段も這うようにしか登れませんでした。
ところが、治療を始めて軽い足取りで駆け上がることが出来るようになりました。
ふくらはぎのつりがなくなった
また朝起きて、ふくらはぎがつりそうな事もなくなりました。朝食も美味しくなり、治療前は味が良く分からなかったように思います。
視界が明るくなり、はっきり見えるようになった
あと自分で最もびっくりしたのは、視界が明るくなりはっきり見えるようになった事です。今は朝起きて、窓から外の景色を見た時に視界の隅々まではっきりカラーでしっかり見えるのです。これは、経験なさった方でなければご理解いただくことが難しいと思いますが変化があまりに劇的です。それまでは、視界の隅に枠がかかったようにぼんやりしており全体的にグレーがかったように見えていました。
昼間、眠くなることがなくなった
さらに今では、昼間も眠くなることがなくなり仕事に集中することが出来ます。これは妻がびっくりしていたのですが、僕は車の助手席やテレビを見ながら常に眠っていたそうです。当時の僕は、すぐに寝てしまい、起きて座っていることもましてやテレビを見ることも出来ませんでした。ひどいときは、人と話している時でさえ“かくっと”眠ってしまう事もありました。
血圧が下がった
また僕は、お酒もさほど飲めずタバコも吸わず塩辛いものも好きではないのに、血圧が高い本態性高血圧症です。しかし、睡眠時無呼吸症候群の治療を始めてから血圧も下がり始め降圧剤の数も減らすことが出来ています。

皆さん、いかがでしょう。睡眠時無呼吸症候群の心配のある方は、ぜひ当院でも他の医科でも相談してみて下さい。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群について

それでは、睡眠時無呼吸症候群がどの様な病態で何が危険なのかを少し説明させていただきます。
睡眠時無呼吸症候群には「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」や「中枢性睡眠時無呼吸症候群」などいくつかの種類があります。その中で最も頻度が高く一般的なのが閉塞性睡眠時無呼吸症候群という本来、人が持っている骨格が原因となって発生する病態です。この閉塞性睡眠時無呼吸症候群を中心に、話を進めて行きましょう。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、眠っている間に喉の部分(気道)が狭くなることで空気の通りが悪くなり、そしてその延長で気道が塞がります。その結果、呼吸が止まってしまいます。
軽度では、眠っている間に1時間で5回以上呼吸が止まる状態となります。重度の場合は、1時間で15回以上呼吸が止まってしまいます。
皆さん、試しに続けて息を最低、5回以上息を10秒止めてみて下さい(実際の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんの睡眠には、回数も時間もそれ以上だと思われます)。とても苦しいと、感じられるはずです。

いかがでしょうか、体に良い訳がないと思いませんか?
眠っていながら脳が起きてしまい、実は眠れていない状況となります。脳だけでなく心臓や、血管などにも非常に負担がかかります。この状態が、眠っている間中に継続されるのです。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群が続くとどうなるか

さて、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の状態が続いてしまうとどうなってしまうのでしょう。以下に、起こりうる事を書かせていただきます。

1肥満症
睡眠時無呼吸との相互的な問題が、指摘されています。肥満症は、さらに様々な疾患の危険因子となります。
2高血圧
高血圧は、やはり危険度の高い因子となります。睡眠時無呼吸症候群の治療を行うことで高血圧の改善が期待できます。
3冠動脈疾患・心血管障害(虚血性心疾患)
冠動脈疾患・心血管障害(虚血性心疾患)症候群患者の死亡原因として、重要で注意しなければなりません。合併症としては、一般の方の2倍以上と言われています。
4不整脈
不整脈は、睡眠時無呼吸症候群患者の睡眠中における突然死の原因となりうると考えられています。睡眠時無呼吸症候群の治療をすることで改善が期待できます。
5脳血管障害
最近では、閉塞性睡眠時無呼吸症候群が単独で脳血管障害の発症因子になると言われています。
6突然死
これまで述べてきたことは当然、突然死の因子となります。睡眠時無呼吸症候群は、突然死を引き起こす危険因子となるでしょう。
7精神疾患
睡眠時無呼吸には、うつ病や、性格変化、また過眠などをきたすことが多いと言われています。
8行動・認知障害
実は、現在このことが非常に問題となっています。それは夜に、実際はよく眠れていないことで起こる居眠りです。そう、居眠り運転の原因となりうることです。それにより不幸な交通事故が、車や電車を問わず起きてしまう可能性があります。
また、運転中に限らず昼間の仕事中に睡魔に襲われ人と話しているのにウトウトしてしまうことすら起こり得ます。

いかがでしょう、ご理解頂けましたでしょうか。
骨格が原因ですので、自然治癒はあり得ません。また、残念ながら治療を受けたからと言って治ることもありません。継続的な治療が必要です。

睡眠時無呼吸症候群の診査診断は、医科においての受診が必要となります。全身状態の把握や、合併症の管理が必要となりますので是非とも医科への受診をおすすめいたします。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療法

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の一般的な治療法には、持続陽圧呼吸治療(CPAP)と口腔内装置治療(OA)があります。
CPAP治療は、症状の程度に関わらず100%近い治療効果が期待できます。しかしそのわずらわしさから50%、もしくはそれ以上の患者さんが使用と治療を止めてしまうとの報告もあります。確かに装置が大きいので、旅行中の携帯も楽とは言えません。

歯科の分野では、軽度から中度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対して口腔内装置(オ―ラルアプライアンスと言われる、マウスピースのような治療装置)で治療を行うことが可能です。CPAP治療に比べれば、装置が小さいので使用も形態も楽と言えます。効果も高いことが、実証されています。
しかし重度の患者さんにはその効果が薄いため、先に述べたように軽度から中度の患者さんが対象となります。ただ、重度の患者さんでも旅先へ携帯し一時的に使用するには有効と言えます。
この口腔内装置は、健康保険でも自由診療でも作製することが出来ますのでご相談ください。

CTを用いた説明と相談も承っております

当院では、特殊な気道を撮影することが出来るCTを用いてわかりやすく状態を説明させていただきます。また、セレックと言う歯科用コンピューターで口腔内装置を発注することも可能です。

僕は、自分が閉塞性睡眠時無呼吸症候群だからこそ皆さんに睡眠時無呼吸症候群に興味を持っていただき、適切な治療を受けることで快適な人生をお送りいただきたいと考えております。
最後ですが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群は危険な病態ではありますが、治療を受けることで確実に改善することが出来ます。

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